かもめの玉子

そっか、こんな味だったな。



職場でかもめの玉子をお土産に買ってきてくれた人がいた。

地元に帰った時には、いつも買ってきてくれる。



貴女がかもめの玉子が大好きだったから、

私は食べずに、いつも家に持って帰っていた。

貴女に渡すとめちゃ喜んでくれて。


「ままーみてー」と

必要以上に大きな口をパカーと開いて

かもめの玉子を口の中に放り込む。

そして満面の笑み。


「一口で食べるのすごい?」と聞いてくる。



ある日「こんなの見付けた!」とかもめの玉子を買ってきた。

近くのイトーヨーカドーに数個入りで売っていたのを見付けたらしい。

「全部ぼくが食べるから」

私は一口も食べない。貴女の好物だから。



今日、お土産のかもめの玉子をもらった。

持って帰って喜ぶ貴女は居ないから、職場で食べる。

忘れていた味。

そう、こんな味だった。

喜んでいた貴女の姿が頭に浮かび、貴女の舌と私の舌が交差する。

私の舌はかもめの玉子を食べてる間は貴女の舌になる。


持って帰って、貴女にお供えしてから食べたらよかったな。と食べ終わった後気付く。

お供えはせんかったけど、貴女にはこの味届いたんやないかな。

私の舌が、貴女の舌になったんやから。



貴女の好きなかもめの玉子。

美味しいけど、悲しい味ね。