オリジン弁当

オリジン弁当の前を通る。

貴女が好きだったことを思い出す。…と書くと今思い出したかのように見えるが、ずっと思っていた。だからずっと、オリジン弁当で弁当を買うことはできなかった。



職場の近くにオリジン弁当がある。他にも食べるところはあるが、3店舗ぐらいで他はラーメンとかなので昼食で行くことはない。貴女と一緒に買いに行ったり、仕事帰りに晩飯を買って帰ったりしたのは最寄りの駅のオリジンで、職場近くの所ではないのだけれど。

それでも、オリジンという存在だけで貴女の事を思い出す。


ナスが好きだった貴女は、季節になってナスのお惣菜を買って帰るとめちゃくちゃ喜んでくれた。たまに一緒に行くと選ぶのが楽しくていっぱい惣菜を買って少し高くつく。私が買って帰るときは電話したらネットでメニューを見て、旬のメニューを頼む。


貴女の姿が活き活きと思い起こされるから、オリジンには入らない。オリジンから目を逸らそうとするけど、視線が固定されてしまう。前を通り過ぎるたび、貴女が好きだったオリジンに目が引き寄せられる。


活き活きとした貴女の姿を思い浮かべるたびに、貴女の不在が一瞬忘れ去られ、それと同時にまた思い出され、頭が混乱してしまう。

あれほど無邪気に笑い、天真爛漫に喜んでいた貴女が、なぜ冷たくなり、なぜ悲しみの中送られていったのか。

理解の悪い私に、説明しに来て欲しい。なぜなのか。


最近、そんな混乱に苦しめられることが多くなった。