記念の古写真

少しだけ、本棚の整理をした。

貴女の大切にとっていたお気に入りのファッション誌は、以前手伝いに人が来てくれた時に大概は紐で縛ったまま、捨てられもせず棚の前に置かれている。棚に残っているのは漫画や書籍、ムック本の類い。


好きだった手塚治虫に、高橋留美子、鴨川つばめ、それと おやすみプンプン とデスノート。

うる星やつら と マカロニほうれん荘 のギャグは天下一品だと大のお気に入り。文庫本でしか持っていなかったから、仕事の合間に私がお土産で少しずつ買い揃えた。一緒に買った巻もある。鴨川つばめの ミス愛子 と マカロニ2 は比較的珍しいもので、大泉学園の今はなくなった古本屋のレジ奥の棚で見つけたもの。

「すげ〜!」「めっちゃ嬉しい!」

と座ったまま本を胸に抱き、上半身を左右にくねくねと何度も捻っていたのを覚えている。


見かけるたびに買った、マリリンモンロー関連の本や、脱獄魔白鳥由榮の本、阪神百貨店の古書展で貴女が選んで買った過去の殺人魔の本。阪神百貨店では、会場で少し喧嘩してしまった。レジに行く前に仲直りの印か、

「これ、プレゼント」

となんでもない明治頃の風景の古写真を籠に入れてくれた。ふざけて戻そうとすると

「要らないの? 折角選んだのに」

と言われ、特に欲しいとは思わなかったけれど一緒に買った。プレゼントのはずだけど、私が買った。

別の部屋の、本が山積みされた中に包装されたまま埋もっているけれど、いい記念の品として大事に想っているよ。


ディズニー関連の雑誌や本は縛らず、棚に置いたままにしてある。貴女の特に大切だったものだから。

大切なものを沢山残したまま、逝ってしまった貴女。



昨夜からの雨は止み、雲に覆われてはいるが、遠くに青空が透いて見える。そのさらに遠くの方に貴女は居るのでしょうか。

そこから、棚の整理をする私を見て、貴女は何を想うのでしょう。

私は一冊、一冊を丁寧に、埃にまみれてしまわぬように注意深く棚に仕舞いなおす。貴女を想いながら、貴女の不在を感じながら。


どれだけ大きな声で、空の向こうに呼びかけたとしても貴女に届かないとわかっている。だから心の中で、貴女の名前を呟いてみる。

小さな、小さなその声は貴女の所に届きますか?