貯金

とても寂しい。寂しい心が荒れ狂う。

帰路に就いてる内に、家の近くの横断歩道を歩く内に、家に貴女が居ないことをとても寂しく覚えた。可愛い、可愛い、貴女が居ない。

頭が狂ってしまいそうになるほどに、心が霧散してしまいそうになるほどに、とても寂しくなった。

悲しみでなく寂しさ。どうする事もできず、声を立てずに夜空に叫んでみる。



悲しさは、涙に任せておけば良い。

では寂しさは?

寂しさは何でもって発散し、誤魔化し、癒せればよいのだろう。


悲しい時、泣けば少しは心が晴れる。泣いているという事実が自分を慰める。感情の吐露が自分を誤魔化してくれる。


寂しい時、ぽっかり空いた心の穴を意識するだけで、なんら誤魔化し、発散し、慰める術を持たない。


悲しい時期は落ち着いて、これからは寂しいに入っていくのか。悲しさよりも、幾数倍も辛いように感じる。頭が狂いそうになる。

最近、また酒の量が増えたのは、狂った頭を鈍らせるためか。



寂しさを物欲で覆い隠す方法しか私は知らない。ここ二、三日、ヤフオクで古本を次々に落札す。クレジットカードで購入するが、それでも毎月の支払いは、以前よりも少ない。


少しずつ増えていく貯金に、貴女の不在を感じ、今日も記帳し寂しさを覚える。

通帳を入れてあるケースには、最後に貴女の口座に振り込んだ明細書が挟まれている。携帯代17,300円と毎月のお小遣い20,000円。貴女が居なくなって、毎月貯蓄が増えていく。

それが嫌で嫌で物欲を満たそうとするけれど、私の求める物の、たかが知れた金額が、悲しく貯蓄を一万、また一万と増やしていく。



お金がどれだけ貯まろうが、貴女の存在は買えやしない。だからお金は哀しいのだ。

お金をどれだけ積んでも、貴女の居る所には届かない。だからお金は寂しいのだ。

お金の存在が、貴女を喜ばしてきた。だから私はお金が貯まるのが心地よい。だが同時に喜ばせる貴女が居ないことに気付き、結局お金は無意味なのだと呟くのだ。