現実感

なんだか、貴方が居ないことがフィクションの一部であるかのような、漠然とした膜がかかっている。

最近現代小説を何編か一気に読んだせいか、自分の置かれた環境が作り物じみて感じられる。自分自身の感情も、本を読んで起こる感情と同列に並べられ、身の内から発したものか、何か作物に刺激され生成された人為的なものか。全てが混沌と混じり合っていく。


貴方の写真を眺めても、なんだかテレビを見ているような、ガラス一枚隔てた向こう側の世界の出来事のよう。自分と地続きの現実がどんどん消失してしまうみたいで、少し恐ろしい。


今日、左手人差し指にトゲが刺さったような痛みが続いている。針でほじくりかえしても、トゲらしきものは見当たらず。チクチク痛いまま。その身体的感覚だけが、今の私の現実。心の痛みは、遠く向こう側へと行ってしまっている。いつ帰ってくるのだろう。


これはきっと色々ある波のうちの一つに過ぎないんだろうとは思う。そうは思っても、なんだか不安。


胸の痛み、心の痛みとしての比喩的な意味でなくて、肉体的な右肺あたりに痛みが走る。これも現実。肉体以外がどこかに出掛けてしまったみたい。とりあえず、帰りを待っている。

私の心だけが、貴方のところへ行っているのだろうか。それなら別に、帰ってこなくてもいいよ と考えてみる。