読了

なんだか落ち着かない。心に乱れが見られず、落ち着かない。

落ち着かないことも、こんな風に落ち着かないこともよくあることだったと思うけど、よくは思い出せない。


読んでいた本を2冊ほど読み終える。読み終わっても閉じても本は残るのに、貴女が閉じた貴女は残ってはいない。本はまた開けば新たに読み返せるのに、貴女のことは記憶の中で手繰るだけ。開くことができない。見て、触れ、貴女の紡ぐ一つ一つの言葉を新たに味わうことはもう出来ない。


欲しい本はこの夜空の下のどこかにあるのだろうけれど、貴女は夜空の下のどこを探しても見当たらない。地球の裏側、お日様の下にも、多分居ない。絶対、居ない。


寒い雨降る夜に、屋根の下、暖かく過ごすこともできない。過ごす必要もない。ただ、貴女の写真は机の真ん中、優しく花に飾られて、暖かい部屋で微笑んでいる。


今夜は雨の降らない夜だけど、寒さも少し落ち着いた夜だけど、貴女の声を暖かい部屋の中で聴いてみたい。

そうしないと、私の心は温かくはならない。


凝った肩に湿布を貼る。そのひんやりとした感触が、私が生きていることを嫌が応にも思わせる。


私は何度でも貴女に会いたい。何度でも同じ話を聞いていたい。何度でも、何度でも。飽きることのなかった貴女だから。


私の望みは天高く、もしくは地深く、貴女まで届いているだろうか。