貴女の誕生日

今日は貴女の誕生日。今年から、この日は貴女が歳を重ねるという意味合いを剥奪された。貴女がこの世に生まれ出でたという記念の日、ということだけになってしまった。


朝、貴女が好きだったチョコケーキを供える。貴女の口まで、その味わいは届いただろうか。私の祝福の声はその耳に届いたろうか。


爆発的な哀しみは、心配してた程にやってこなかった。だけれど、どうしようもない虚しさは身体を襲う。昨日、疲れすぎて床で寝入ってしまい喉を痛めたせいか、怠さもあり、遣る瀬無い気持ちで1日を過ごす。


もう、貴女にプレゼントを買うことが出来ない。貴女が美味しい料理に喜ぶ顔も見られない。出来ない、見られない、貴女の前に否定の言葉を並べることしが出来ない。

どうしてここに居ないのだろう。もう何度も何度も繰り返した疑問がまた新たに頭を悩ませる。自分の人生に、貴女が寄り添って居ないことが、何より苦しい。辛い。



ストーブを出した。私と出会う前、貴女が一人暮らしの部屋で使っていたストーブ。水蒸気を吐く音、そしてその暖かさが、貴女を思い出させる。

ストーブの前に寝そべる貴女の背中や足を言われるままに踏んでマッサージした、肉感、柔らかさ、その感触が足の裏によみがえる。今の私は固い床を踏むだけの足しか持っていない。貴女を抱き締めようとしても、自分を抱くことしかできない。寒い部屋の中、布団の中で貴女の寝息を感じながら暖め合うこともできない。


今日も無為な時間、虚しさの空間の中で一人過ごす。