何のことない

雨。しとしと と朝から晩まで降り続ける。事務所の中はエアコンで外の装いのままだとうっすら汗ばんでしまう。中に居ると、外の寒さが想像できない。外の寒さに居る時は中の暖かさを手に取るように想像できるのに。


幸せとかそういったことも同じようなものかもしれない。幸せの中に居ると、自分の立場を相対的に考えもつかず、幸せを喪ったり絶望に立ったりして初めて相対的に物を考える。妬みや羨みからかも知れないが、幸せと自分の立場の違いを思い知る。幸せだった記憶を、マッチに灯る一瞬の温かみのように慈しみ、同時にその儚さを恨みもする。



今日、劇団四季の ジーザスクライストスーパースター のチケットを予約した。朝10時から。職場で、スマホにイヤホンをつなぎ、何度もリダイヤルをする。15分後やっと繋がり、自宅近くの公演分を購入。一人分。この予約は貴女の仕事だったな、と思う。一緒に行ったリトルマーメイドも、アラジンも、結局私一人で行ったオペラ座の怪人やノートルダムの鐘も、貴女がとってくれたチケットだった。

今回と同じように、全国巡回だった コーラスライン の公演も貴女が予約してくれた。その時と同じ場所でやるみたい。寂しいな。

私一人で、何をはしゃいでるんだろう。何を嬉しがって、楽しもうとしているんだろう。



夜、定時すぐに退勤して池袋へ向かう。古本まつり。荒天中止、とあったので明日はまずそうだから今日行こうと決めていた。着いたら、真っ暗で、テントの下にブルーシートで棚が包まれている。目の前に一人の老人がいて、古本目当てで来たのであろう、メガネを外して辺りを見回していた。結局遠回りしただけで家路につく。楽しもうとした報いか。報いもクソもないのだけれど。単に雨で中止だっただけのこと。ほんと、息を切らせてまで、何を享受しようとしているのか。



ここ数日、胸が痛い。空咳が出る。すぐ息が切れる。肺に穴が空いたかな、とも思う。とても心配になる。貴女を救えなかった私が、自分自身は救おうとやきもきしてる。何のこっちゃい。