明日になる

今日も一日、寂しい。一人、寂しい。

本を読み、涙を流す。


劇団四季の会報が届く。貴女が毎月楽しみに読んでいた。団員のインタビューを、今月の予定を、先行予約の日取りを。そしてその内容を私に嬉々と語る。私は嬉々としてそれを聴く。リビングで、風呂で、布団の中で。次に観たい舞台のことを、次に行く舞台のことを。

貴女が観たがっていた ジーザスクライストスーパースター 、チケットを予約したよ。けど、一枚だけ。私の分だけ。なんで二枚じゃないんだろう。チケットを取れた喜びを、予定のある嬉しさを、何故貴女と共有できないんだろう。どうしてここには、貴女の笑顔がないんだろう。


貴女の居ない生活には、やっぱり、慣れることができない。机の上には、貴女が居なくなるたった二日前に見せてくれた笑顔の写真。どうして、その二日後には貴女の笑顔が見られなくなったのだろう。あり得たかもしれない、もうあり得ない もしも が私の胸を狂わせる。

2月から一枚もめくられないカレンダー、見慣れた光景。こんなものに慣れたくはない。また寒い季節が巡ってきた。そしてまた、2月になるんだろうか。私に2月は、またやってくるのだろうか。貴女にはやってくることがないのに、どうして私には明日が来るんだろう。


貴女が居ないのに、私はなぜのうのうと酒をくらい、本を読み、何か知らない幸せを求めようとしているのだろう。


貴女の居ない私の人生は、もう灯りが消えてしまった。貴女が居たことすら、貴女が隣に居てくれたことすら、もう夢の中の出来事のようで、本当に私の身におこっていた幸せなのかすら、自信がなくなってきた。私の幸せの日々は、現実だったのだろうか。この辛い、悲しい八ヶ月が、私の全生涯だった気すらしてしまう程、永く感じられる。私の過去は、いまや私から剥離されて、今の私とはなにも関係のない顔をして頭の中を漂っている。この昨日までの、八ヶ月前までの私に、私は再び寄り添うことができるのだろうか。


どう考えればよいのかも見当のつかぬまま、私は明日に踏み込まなければいけない。なにも知らない顔をして。なにもなかったような顔をして。