月に願いを

タバコを吸いに外へ出る。東の空に月が見える。半弦よりも、少しふっくらとした月。

これは貴女と見た月、貴女とその下を歩いた月。

貴女と見たその月を、今日私は1人で眺める。

この月は、貴女と私の姿を認めたはずの月。この月は、今日私の姿しか認められない。私はこの月に何と言って、一人佇む私を説明しよう。


眼鏡を外すと、近視眼で乱視の私には、どんな月でもまん丸く光っているように見える。黄色く、朧に、まん丸に。

一年前の月を見上げた貴女の視線と、今日一人で月を見上げる私の視線。月の上で交わっているだろうか。

今日の私の視線は、月に反射して、一年前の貴女まで届いているだろうか。


何百、何千、何万もの視線を集める月よ。どうか私の熱い視線を、想いを、在りし日のあの娘に、私の大切なあの人へどうか届けて欲しい。

そう切実に思う、月夜の晩。


月の明かりは眩しすぎて、星は一つも見えない。