忘年

先日、会社の忘年会があった。

会社の近くでの一次会、その後8人ほどで新宿まで出ての二次会。その中には貴女の好きだった同僚女性も一緒。


新宿の小さなお店で飲んでいると、水商売の女性がやってきて、一緒に話をしていた。すると、その女性は幼い頃に両親に捨てられ、周りからも冷たくされ、人からの愛情を受けられなかったと、快活に話をしていた。ハシゴで橋の上に登って…というところを警官に保護され措置入院。手首にも傷がある、とこれも快活に話していた。

色んなことがありながらも、ここまで生きて、全てを受け入れているかどうかはわからないが、今は幸せに、少なくとも不幸ではなく生活を送っている。

その人と話をしていて、両親からの愛を、周囲からの愛を受けてこなかったという話を、貴女に重ねて聞いていた。



貴女がどんな生活を送ろうと、貴女が何をしようと、私は貴女を肯定します



私はついとその人に声を掛けていた。私はその人の後ろに、貴女に語りかけていたんだと思う。私の感は極まった。



生きていれば、それは、それだけで素晴らしいことなんです。死んだらあきません。けど…けれども、例えもし死んでしまったとしても、私は貴女を肯定します



知らず、私の頬を涙が伝わった。私は貴女にこの言葉を伝えたかった。貴女の不在は悲しく、認めたくもなく、それを避けられたなら千金なげうつことも厭いはしない。それでも、今の貴女の不在は紛れも無い事実で、覆すことのできない現実で、どれだけ時間をかけて探し回ってもここは貴女の居ない世界。私は貴女を肯定することでしか貴女を私の心の内に定着させることができない。何より貴女の短い人生の中での最期の選択。もう貴女は何をすることもできない。食べることも、泣くことも、怒ることも、歩くことも、笑うことも。貴女はもう、何一つ選択することができない。貴女がこの世で成した最後の選択。


いつの日か、私はあなたの最期に想いを馳せなければならない。貴女の最期に自分の感情を重ねなければいけない。そう思っている。実際の行動であっても、感情の上だけであったとしても、私はそれをしなければならないと思っている。

今はできない。

辛すぎる。

いつか、それができるのだろうか。


涙を流す私の背中を同僚女性が ぽんぽん と手を添える。周りは私の涙の意味を解さない。それでいい。


私は、貴女と、貴女の好きだった人に誠実であろうと思う。それ以外の人には正直であればいい。


もうすぐ年が終わる。