大晦日

大晦日、スーパーへ買い物へ出掛ける。正月らしいものを買おうかとも店を一巡するが、それらを目の前にした途端に買い気が失せる。栗きんとんが好きだった貴女。去年、買おうかと尋ねるも無駄に高いから要らないと貴女は言った。そんなこと気にせず買えばよかったのに。好きな物を、好きなだけ食べてくれたらよかったのに。


結局いつもの弁当と酒だけを買う。


道端に犬の糞が落ちている。冬の寒さでカラカラに乾き、ボロボロと崩れている。道の真ん中に、ポツンと取り残されて。

私の住む地域は犬の糞が落ちていないのを好ましいと思っていた。近頃は飼い主のマナーもきちんとなっているのか、昔ほど道に放置されるそれらを見ることは少なくなった。それでも営業で色んなところを回っていると目立って落ちている地域がある。そんな所には住みたいとは思わない。私の近所で落ちているのを見るのはかなり久しぶりだ。

見た瞬間、この干からびた糞は私自身だ、と頭に浮かぶ。帰りに同じ道を通り、再度見る。何者にも手をかけられることなく放置されたまま。行きと同じく、そこにある。この俺自身が干からびた糞なのだ。もう一度そう思ってみる。

誰にも見返られず、ただ不快に思われ、それこそくその役にも立たない。貴女が傍に居ない私は単なる路傍の糞でしかない。


貴女の居ない、初めての年越し。

貴女はどこからか、私の様子を垣間見ているだろうか。それとも早々に立ち去ったこの世界のことなんて念頭になく、別の何かをしているのだろうか。

今日以上に味気なく、今日以上に厭世的な大晦日を私は知らない。