夢のまた夢

貴女に会いたい。

貴女にまた、最初から出会いたい。

いま、貴女に初めて会ったら貴女はどう思うだろう。好きになってくれるだろうか。きっと好きになってくれる。そんな自信がある。だって、8年間も貴女に育て上げられた私だもの。


貴女色に、マナーや礼儀、考え方を染めさせられた私だもの。貴女に再び好きになってもらう自身はあるんよ。だから、私の前に現れて欲しい。8年間の記憶なんてなくていい。今からまた築きあげればいいんだもの。ただ、目の前に現れてくれさえすればいいのよ。



酒に酔うと、馬鹿なことを考える。

酒に酔わずとも、馬鹿なことを考える。

あの日、貴女が居なくならなかった もし をよく考える。細かに、色んな場合を。

その時には、私は恥も外聞も捨てて、貴女に奉仕する。職場に頼み込んで、貴女を雇ってもらい、四六時中、傍に居てもらうことだって。周囲がどんな陰口を叩こうが、貴女を職場に連れて行く。要領の良い、そして何より人から愛される貴女だから、きっと最初の陰口をひっくり返すほど、長年働く私を押しのけて信頼を勝ち得るはず。その様子を見て、私は微笑む。やっぱりな、と笑顔を浮かべる。


何度も繰り返し妄想する。思い浮かべるたびにディティールは細かく、より現実的に。そんなことを考える、少しの間自分を慰める。けとそれはすぐ覚める夢。叶わぬ夢。不可能な夢。可能性が1%も残されぬ、残酷な夢。



貴女が居ない。

貴女は居ない。

私のそばに、そしてこの世界に居ない。


夢の中にも、貴女は居ない。


どこに行けば会えるんだろう。