頭に浮かぶと辛くなる

職場の人が海外旅行をした話をしていた。

カジノにも行った、と。ただ数千円程度のお遊びで損したのは八百円。一攫千金は狙わなかったんですね と軽口を叩くと、別の人が ボーナス全部つぎ込んだりね と笑っていた。


それを聞いた途端に胸が締め付けられた。貴女の事が思い出されたからだ。貴女が私に話した中学生の頃の想い出。友達と年明けに遊びに行ったとき、ゲームセンターに寄ったら貴女はUFOキャッチャーに熱を上げてしまいお年玉のほとんどを使ってしまった。

その後友達と回転寿司を食べに行った時に、お金が残ってなくて大好きなお寿司なのに一皿しか食べられなかったと。友達にもう食べないの?と聞かれたけどお金がないとは言えず、「もうおなか一杯」と答えた貴女。


貴女から聞いたこのエピソードを思い出すと、昔から胸が締め付けられた。可哀そうという感情と可愛らしいと言う感情とで、とても切なくなってしまう。心が張り裂けそうになってしまう。



貴女が居なくなった今、この話はさらに私の胸を切なくさせる。心が冷たく切り刻まれる。声をあげそうになる。胸が痛い、痛い。

貴女が居れば、切ないながらも笑い話にしてしまって、可哀そうになぁと貴女を撫でて、寿司を注文したりすることもできるけど。今はこの冷たくなった心に対応する術はない。



貴女の不在を、嘆くだけ。

もうすぐ一年経つ。

周りの目から見れば、もう私は乗り越え、立ち直っているのだろうか。平気に笑って、冗談を言って、何事もなく日常を過ごしている。けれど、そんなことはない。…というようなことを、別にわかって欲しいわけではないけれど。

ただ、この寂しさ、悲しさ、虚無は、1人で抱えるには重すぎる。