夜に向かって

昼飯を食べた辺りから急に身体が怠くなってきた。足が重い。一歩一歩、泥の中から足を持ち上げるような感覚。何かが粘りついてくる。

仕事が終わる頃になると全身に重い空気がまとい付く。


今夜は貴女と最後に過ごした夜。

あの日も私は仕事が遅かった。疲れて帰ってきた私を、1日遅れの手作りチョコブラウニーで迎えてくれた。温め直し、指でぽんぽんとブラウニーに触れて温度を確かめていた貴女。

最後の手作り料理。一緒にお風呂にも入った。一緒に寝床にも。だけど、貴女は起きていた。


身体の次は心が重りゆく。内臓を押しつぶしながら底へ、底へと沈んでいく。足の先から、私の心がドロドロと溶け落ちる。その泥に、また足は絡めとられる。


何を言っても、気が紛れない。

立つことすら困難に思われる。息をするのもしんどい。手が震える。


家に帰っても貴女は居ない。